共同住宅における重量床衝撃音の予測検討に関する手引書 「インピーダンス法による重量床衝撃音レベル予測計算法(改訂3版)」を発刊
2021年3月18日
泰成株式会社(代表取締役社長 清水雅弘 本社:長野県駒ヶ根市),万協株式会社(代表取締役社長 清水雅弘 本社:東京都品川区)は信州大学名誉教授山下恭弘監修のもと株式会社熊谷組(取締役社長 櫻野泰則 本社:東京都新宿区),フジモリ産業株式会社(代表取締役会長兼社長 藤森行彦 本社:東京都新宿区),野原産業株式会社(代表取締役社長 阪 貴夫 本社:東京都新宿区),有限会社音研(代表取締役 石川義治 本社:埼玉県八潮市)と共同で研究した成果を「インピーダンス法による重量床衝撃音レベル予測計算法(改訂3版)」として発刊しましたのでお知らせします。
[背景]
共同住宅を設計する上で,音環境,特に床衝撃音遮断性能の検討は重要性の高い項目の一つとなっています。床衝撃音遮断性能の予測計算法としては様々な手法が存在しますが,その中でインピーダンス法1)を用いた予測計算法が提案されています。この方法は一般的な表計算ソフトを利用して計算することができることから,実務に広く利用されています。
株式会社熊谷組,泰成株式会社,フジモリ産業株式会社,野原産業株式会社,万協株式会社,有限会社音研は,建築の音環境について自主的に研究することを目的に,山下恭弘信州大学名誉教授を会長として音・熱環境研究会を2005年6月に発足させました。その中で,主に床衝撃音に関する研究を行う床衝撃音研究会を組織しています。
床衝撃音研究会では,実務的な床衝撃音レベルの予測法に関する解説書として「インピーダンス法による床衝撃音レベル予測計算法の解説」(2006年2月)を発刊し,併せて表計算ソフトで簡単に床衝撃音レベルを予測計算できる「予測計算シート」を公開しました。この解説書と予測計算シートは,大脇(株式会社熊谷組)と山下(信州大学名誉教授)らによって1998年に提案された,30uを超える大型スラブ
2)を対象としたインピーダンス法(大脇・山下式)に基づいて作成されていました。2012年10月には計算方法を改訂して大脇・山下式2012とし,「インピーダンス法による重量床衝撃音レベル予測計算法(改訂)」の発刊および予測計算シートの公開を行いました。
今回,大脇・山下式2012の公開から8年が経過したため,その後の知見を加えて全面的に見直し,改訂3版として本解説書(大脇・山下式2021)を発刊することになりました。併せてこの解説書に対応した予測計算シートを公開します。予測計算シートは床衝撃音研究会を組織する各社のウェブサイトから入手できます。
【注釈】 1) インピーダンス法:木村・井上らによって1987年に提案された方法であり,計算体系は実測値をもとに構築されています。スラブ支配面積10〜30m2程度,スラブ厚さ100〜250mmの小型スラブを対象としています。 2) 大型スラブ:当時,共同住宅において30uを超える大きな床スラブが増加する傾向でありました。このため,それまで主流だった30u以下の比較的小さな床スラブと区別して「大型スラブ」と称しました。
[概要]
「インピーダンス法による重量床衝撃音レベル予測計算法(改訂3版)」は,三部構成になっています。各項目はQ&A形式としております。解説書の主な構成は以下の通りです。なお,本解説書は電子データ(CD-ROM)での提供となります。
- 第1部 インピーダンス法による重量床衝撃音レベル予測法(大脇・山下式2021)の改訂内容と計算方法の解説
- 第2部 インピーダンス法による重量床衝撃音レベル予測法(大脇・山下式2021)の具体的な事例による予測計算方法及び予測精度の解説
- 第3部 床衝撃音遮断性能の測定方法に関する疑問点・留意点の解説
本解説書は,以下のような特徴があります。
- 大脇・山下式2012と比較して,重量床衝撃音レベルの予測精度をさらに向上させました。
- 多様な共同住宅の予測計算に幅広く対応できるようにしました。
- 解説書では,予測計算法について全体構成から平易に説明しています。
- 具体的な事例を用いて計算方法をわかりやすく解説しています。
- 床衝撃音遮断性能の測定について,現地調査を行う時の疑問点をQ&A形式で説明しています。
- 専門的な内容や細かな疑問点については,コラムを設けて丁寧に説明しています。
- 実務者が容易に重量床衝撃音レベルの予測計算を行うことができるように,大脇・山下式2021に対応した予測計算シートを用意しました。
本予測計算シートはMicrosoft Windows10上のMicrosoft Excel2013〜2019,およびMicrosoft365で動作確認しております。
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図 予測精度の比較
[今後の展開]
今後,共同住宅の重量床衝撃音レベルの予測検討を行う重要なツールとして位置付け,デベロッパーや設計事務所などに対して積極的に提案していく予定です。さらに本解説書をご覧になり,本予測法をお使いになった方から忌憚のない評価・意見を頂き,より使いやすくなるように今後も継続的に検討をしてく予定でおります。 なお,本解説書(CD-ROM)は下記のウェブサイトから申し込み頂けます。このCD-ROMには予測計算シートも収録されています。
※泰成株式会社/万協株式会社,フジモリ産業株式会社,有限会社音研のウェブサイトからは,予測計算シートのみのダウンロードも可能です。
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